桜色ノ恋謌
「つーか俺らそこ出たいんだけど。どいてくんね?」


状況読んでよ !!


「鍵閉まってて出らんないの!」

「はぁ?マジかよ?」

「……ねぇ、この子翔大と一緒に演ってた子だよね?名前なんだっけ?」



……あなたこそ誰ですか、ケバいお姉さん。



「モデル出身の如月咲絢っつー奴」

「ふーん。で、誰とヤって主役とれたワケ?」



……はあ !? ヤる !? 誰と何を !?



「こいつはアンタと違ってオーディションで主役やったんだけど。審査員がちゃんと選んでたし」

「事務所どこよ?オーディションだけで主役とれんならあたしだって……」

「……あの……。どちら様、ですか?」


あたしのこと好き勝手言っちゃってくれてるけど、あなた誰よ !?


「こいつは深夜番組に露出専門で出てる奴。てか、ここ鍵開けさせるから黙ってて」

「あ、はあ……」



月島くんはおもむろに携帯を取り出して、どこかに電話した。



「マネージャーに電話したからすぐ開くだろ。ちょっと待ってろ」

「……はあ……」



あまりの手際の良さに驚いたんだけど。



それより、月島くんが菊司の制服を着てるってことは。


「もしかして月島くんって……同じクラスっ !?」

「あー。芸能科の1年だったら同クラかも知んね。お前も?」


こくこくと頷く。


「なんでお前屋上に来てんの?授業はサボり?」



あたしはちらりとタンクの上を見上げた。



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