桜色ノ恋謌
――『お兄ちゃん、また坂下のおじさんがお酒持ってきてくれたわよ』

――『闇市だからと言わなくてもいいじゃない』

――『わあ、チョコレート!私、初めて見たわ』





……うーん……。


なんかこう、現代人っぽくない喋り方にはちょっと戸惑うかもなぁ……。




「何が現代人っぽくねーの?」

「ぬがあっっ !?」

「ぬがあってお前……」



誰よ、あたしのサボりスポットに邪魔してきた奴はっ !?


………ってまたこいつか………。



「へーぇ。いっちょまえに夜枠に出んの?生意気ー」



月島翔大!あんたウザいよ!



「……あのさぁ、あたし月島くんとは会わないようにサボる場所を変えてるんだよね。あたしも月島くんの邪魔はしないから、月島くんも放っといてくれないかな、あたしのこと」


月島くんを眼中に入れないように、台本に目を戻した。



「それ、藤原さんが主役のやつだろ?お前何の役よ?」

「………」



黙秘権を発動。



「お前さぁ、クラスでイジメられてんの?さっき教室で騒いでる奴らいたけど」



……煩い。何であんたにそんな事言わなきゃなんないのよ。



「俺もさぁ、《ぷれしゃすっ!》ん時に事務所に言われてたんだわ。『如月咲絢を潰せ』ってさ。なのにお前潰れねぇんだもん。どうせだから今潰されちまえよ。そろそろ俺のファンからの嫌がらせも、来てんじゃねーの?」




何で楽しそうに喋ってんの……?



おかげであたしは精神的に追い詰められたのに。

恭哉くんがいなかったら、本当に潰されてたかも知れないのに!



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