桜色ノ恋謌
次の日の朝10時頃に鳥羽さんと事務所の社長がうちにやって来た。
日曜で休みだったお父さん、締め切り前でバタバタしているはずのお母さん、そしてあたしの3人は、居間のテーブルに並べられた契約書などを前に社長の説明を聞いている。
2つ年下の弟の和生(かずき)はゲーム機を手に床で寝そべって、あたし達の話を聞いていた。
「咲絢さんはまだ中学生ですので、この事務所の規則にもありますように学業を疎かにしないようなスケジュールで仕事をこなしてもらいます。仕事のせいで万が一成績が落ちるような場合、事務所の方で塾に通わせるか講師をつけて安定した成績をキープさせますので、学業の方もご心配なさらず」
「そうして頂けるとありがたいのですが、なぜそこまで?」
お父さんが不思議そうに社長に聞いた。
「学校の成績も仕事のうち、というわけです。人の目が届かない所も意識しないとならない仕事ですので。それに、英語が日常的に話せるようになれば、海外での仕事もしやすくなります」
「それは、まぁ…そうですね」
「うちの事務所に在籍する以上、進学についても最後まで…もちろん大学まで、ですがお世話させて頂きます。タレントのプロフィールも大切な商売のツールですのでね」
「商売上のツール……ですか」
日曜で休みだったお父さん、締め切り前でバタバタしているはずのお母さん、そしてあたしの3人は、居間のテーブルに並べられた契約書などを前に社長の説明を聞いている。
2つ年下の弟の和生(かずき)はゲーム機を手に床で寝そべって、あたし達の話を聞いていた。
「咲絢さんはまだ中学生ですので、この事務所の規則にもありますように学業を疎かにしないようなスケジュールで仕事をこなしてもらいます。仕事のせいで万が一成績が落ちるような場合、事務所の方で塾に通わせるか講師をつけて安定した成績をキープさせますので、学業の方もご心配なさらず」
「そうして頂けるとありがたいのですが、なぜそこまで?」
お父さんが不思議そうに社長に聞いた。
「学校の成績も仕事のうち、というわけです。人の目が届かない所も意識しないとならない仕事ですので。それに、英語が日常的に話せるようになれば、海外での仕事もしやすくなります」
「それは、まぁ…そうですね」
「うちの事務所に在籍する以上、進学についても最後まで…もちろん大学まで、ですがお世話させて頂きます。タレントのプロフィールも大切な商売のツールですのでね」
「商売上のツール……ですか」