桜色ノ恋謌
恭哉くんはあたしの学校生活を心配して、そう言ってくれたんだろうか?


「……でもねー、最近はイジメが減ってきたの。あのクラスはさ、業界そのままの縮図みたいだって思う」

「多かれ少なかれ学校なんてそんなもんだよ。大人の社会が子供の社会にも影響してるのはよくある話さ」



………そうなのかな?



「あ。花火全部終わっちまった」

「えー?もう終わり?まだやりたかったなぁ……」

「線香花火みっけ。やろ?」


恭哉くんに手招きされて、その近くにしゃがんだ。


花火が入った袋から、一本の線香花火を受け取る。


「どっちが長いか競争しよ?」

「いいけど」


着火用の蝋燭に、二人同時に火をつけた。



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