桜色ノ恋謌
やっと仕事が終わって帰り支度を始めていると、月島くんがやってきた。



「……さっきは、ありがと…な」

「いいよ別に。早く終わらせて早く帰りたいじゃん?」


そうだよ、何回も同じとこ撮ってるとイライラしてくるしね。



「なーんかさ、俺も恋…したかも」

「へー。それは良かったね」


ようやくまともな恋愛感情が芽生えたのか。良かったじゃん。


「お前のこと考えると、押し倒したいとか鳴かせたいとかムラムラするんだけど、どうすればいい?」

「………………」




病院に行け。



《ぷれしゃすっ!THE MOVIE》は月島くんのあの件以降、何事もなくサクサクと撮影が進んでいる。


この衣装にも慣れたのか、魔法少女《リン》のコスプレを結構楽しんでいたりする。




そして仕事がいつもより早目に終わったある夜、あたしがマンションに戻ると、なぜか部屋の明かりが点いていた。



……やだちょっと怖い。



カードキーにカードを差し込んで玄関を見れば、見たことのない男物の靴が二足ある。



……これマジで高橋さんに連絡した方が良くない?



そろりと居間を覗くと……。




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