桜色ノ恋謌
和生を見送って居間に戻ったら、恭哉に低い声で尋ねられる。


「キス?うん、あるよ、キスシーン」



気がつけば、手を引っ張られて恭哉の胸の中にいた。


「恭哉?」

「ムカつくから、それ」

「ムカつく?何……」




恭哉が荒々しくあたしの唇を貪った。


舌が入り込んできて、あたしは食べられてるような錯覚に陥る。




「……他の奴が咲絢に触んのも嫌だ。キスとか絶対許せねぇ」


許せないって……。だって仕事だもん。あたしだって嫌だけど……。


「恭哉。仕事、だから……」




恭哉が急にあたしの服を脱がせた。

上半身を下着姿にされたあたしは、かなり焦る。



獣みたいに息が荒い恭哉が、怖い……。



「えっ!ちょっ……と……」


そして押し倒されて、身動きがとれないあたし。



「……もう我慢できない。この前は邪魔が入ったし。今すぐ、咲絢が欲しい……」

「きょ…や……?」


あたしの足の間に手が入ってきて、太ももを撫で回した。


「……咲絢、いい?」


恭哉の熱を孕んだような瞳で見つめられると、体が溶かされていくみたいだ。


「……あたし、シャワー浴びてない……」

「いいから、そんなの」




あたしの言葉を肯定の意味に捉えたのか、恭哉の手の動きが益々激しくなる。


「ここじゃやだ。ベッドに……」


体を持ち上げられて、寝室に運ばれる。




………今からあたしは、恭哉のものになるんだ……。



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