桜色ノ恋謌
「あたし達は上手くいってんの!月島くんみたいな不純な付き合いしてないの!」


月島くんごときに引っ掛けられた自分が悔しくて、月島くんに食って掛かった。


「俺の付き合いは別にいいけどさ。男の方が一般人の場合、格差に悩むヤツも多いみてーだけど?最初からヒモ願望がある男ならともかく」


ん?ヒモ?


「……ヒモってなに」

「……は?女に食わせて貰ってる男のことだろ。お前の彼氏は違うわけ?」


失礼な!恭哉にそんな願望があるわけないし!


「そいつ、仕事何やってんの?年収は?どこに家持ってんの?」



意地悪く言う月島くんの言葉に、あたしは一言も返すことができない。


恭哉は大学生だけど、これから……。


あれ。あたし恭哉が将来どんな仕事に就きたいか、聞いてないよ。



「ほーら気持ちが揺れてきたー」


ニヤリと嫌な笑いを浮かべて月島くんがあたしの顔を見る。



「収入や地位に格差がありすぎると上手くいかねーよ。だから俺にしとけば?」


「ありえない。色んな意味で」


今日は仕事が早く終わるし、恭哉もバイトが休みだから多分うちに来るよね?


恭哉に将来のこと、聞いてみよう。



格差……。収入や地位。………ヒモ願望。






まさかまさか、と、あたしは頭をふるふる振って邪念を追い出した。








「……あのね」

「何、さっきから畏まって」



恭哉はまだ大学の1年…だよね?


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