桜色ノ恋謌
将来的な事、決めてるのかな?



「……恭哉は、将来何になりたいのかなー?」

「……何で保育園児に聞くみたいな質問するんだよ?」


だってさ。


「……まあ、決めてる事は決めてるけど。……咲絢も、気になる?」


…ん?『も』という事は、他にも誰かが気にしてるのかな?


「あたしは、恭哉がいつも側にいてくれれば、何もいらないけど……」



あたしはまだ高校生だし、そんな将来のことなんて先の話でいいじゃない。って思うんだけど。


「そっか。サンキュ。でも、まだ言えないけど、実はもう働いてる」

「働いて……るの?」


そんなの知らなかった。いつの間に!?


「まあな。ようやく『動き出した』…って言う方が当たってるかも知れない」



恭哉は、あたしから顔を逸らす。


恭哉が何をしようとしてるか、どんな仕事に就いてるのかは、まだ聞き出せないのかな……?



「今は言わないけど、咲絢の横に立って歩きたいとは願ってんだよ、俺だって……」



恭哉の声が切なそうに響く。




格差とか収入とか、そんなの関係ないじゃない……。



「ダサいだろ。好きな女の方が稼いでるなんてさ」

「……そんな事思ってない!あたしは恭哉に側にいてほしいの!お金なら……」

「その話は止めよう?現実的過ぎてツラいわ」

「……ごめんね……」



あたしは気にしてないのに、恭哉は気にしてるんだ……。





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