桜色ノ恋謌
翌日学校に着いたら、下駄箱にはいたずらもされていなくてホッとした。


教室に入っても、机も机の中も何もされていない。


良かった、と安心したのも束の間、教室の扉がガラリと開いた。



その途端、教室を支配する緊張感。






………桜小路様のおなーりー。






初めて間近で『拝見』させてもらったけど、オーラが全然違うじゃん。この人同じ年なのかな?



というより、あたしと同じ人間なのかと疑うぐらいに『整い過ぎて』いる。




顔も勿論だけど、持ち物、立ち振舞い……全てに意識を注いで、人の目に止まることを自覚している人、だ。



その人が、あたしを気に入らない……と。



挨拶に来なかったのが嫌だ、と。




先輩に挨拶するのは当然だから、遅ればせながら挨拶をさせて頂こう……。


本当は目茶苦茶怖いんですけどね !!



「……あの……。おはようございます。あたし、如月咲絢です。挨拶が遅くなってしまい、すみませんでした……」



「挨拶が遅いのよ!桜小路さんに失礼だと思わないの !?」

うるせーよ。取り巻きその1が。



「ビギナーズラックが続いてるんでしょ?そろそろ運も尽きるんじゃない?」

黙れよ。取り巻きその2が。



「まぐれでしょ?笑えるわね」

笑えなかったですマジで。取り巻きその3。




とにかく、あなた方には用はないんですがね。



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