桜色ノ恋謌
「言ってみ?役にたつかも知んねーじゃん」


たつわけないし。



「ねー。私一人になりたいの。ほっといてくんない?」

「喧嘩した?浮気された?浮気がバレた?修羅場った?違う奴に告られた?」


ぎく。


「あー。違う奴に告られて揺れてんだー」

「うるっさい!詮索すんな!」


マジで鬱陶しい!


「で、彼氏とそいつ、どっちが好きなわけ?」

「あのさー。本気で悩んでるんだから、茶化すの止めてくんない?落ち込んでるんだよね……」


月島くんは、は?みたいな顔をして私の顔を覗きこんだ。


「悩むっつーか。自分が好きな方と付き合えばよくね?なんで落ち込むんだよ?」



私が悩むのは……どっちが好きか、分からないから……?



「じゃなかったら二股かけちまえば?その方が楽じゃね?」

「不誠実でしょ !? 月島くんは二股とか平気なの?」

「俺は女には本気にならないって、最初から相手には言ってるし。だから体だけ」


嫌だよそんなの。


「相手に失礼だよ。本気で好きだっていう気持ちをもてあそんでるんだから」

「それでもいいから側にいたいって女が多いの」



月島くんとこれ以上話しても不毛だ。




「私は嫌。一人にしか応えられない」

「………も少し器用に生きれば?本気と遊び、切り離してばいいじゃん」

「いーやーだ」


なんでこいつは恋愛に対して真摯な態度がとれないのかな?



「なあ。……俺としてみない?」


するって何を?


「キス。お前としてみたい」

「全力で拒否する。嫌だ」


なんであんたなんかとしなきゃいけないんだよ。第一私のファーストキスを奪ったのはあんたじゃないよ。


「月島くんとは普通の友達関係っていうのがちょうどいい。だから、したくない」

「うん。俺もそうかもって思った。お前はオンナじゃない」


失礼な!私が女じゃなかったら何なの!



「性欲処理なしで普通に話せる奴ったらお前ぐらいのもんだし。まあ、これからもヨロシク」


………あんまりヨロシクしたくない。









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