桜色ノ恋謌
社長から聞かされて驚愕した話とは―――。



大型時代劇、しかも映画での主役を務めてほしいというものだった。




映画のタイトルは【孤城落日】。



女流作家が書いた同名のベストセラー小説を、今回は映画化するらしい。




幕末に生きた二人の女性の視点から物語は構成される。



主役の二人の女性は《天璋院》と《和宮》。



この二人の生きざまから、動乱の幕末期の社会情勢や人々の葛藤を浮き彫りにする。





《篤姫君》は1835年12月19日、今和泉家の当主、忠剛の第４子として生まれた。



彼女は18歳の時に第13代将軍徳川家定と結婚する。だけど、将軍家定は病弱で言葉を話すことも困難だったらしく、とても子供を期待できる体ではなかったみたいだ。




1858年には幕府が次の将軍を紀州藩の慶福にすると決定。その決定からまもなく家定が亡くなる。 病床の家定と天璋院はたったの1年半しか結婚生活を送れなかった。




これ以降、幕末の動乱のさ中を幕府の為に身を投じた篤姫君。




《篤姫君》と呼ばれた彼女が夫に先立たれ、《天璋院》を名乗ったのは、まだ20歳代も前半の時だったらしい。



そして天璋院を名乗り、大奥に住まう女性達を束ねていた彼女の元に、一人の少女が迎え入れられる。



< 191 / 394 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop