桜色ノ恋謌
携帯を握りしめたまま想い悩んでいると、いきなり携帯に着信が入った。



恭哉だ。



「あの……。恭哉?バイトは?」


バイト中なのに電話してもいいの?


『あ…今、休憩中だった』


そうなんだ。


『で、何?今メール読んだけど、お前、そんな凄い役者達と一緒に映画に出んの?』

「……迷ってる……」



それでも天璋院役が桜小路さんじゃなかったら、私は出演していたと思う。


「……プレッシャーが凄すぎて、出ますって言いたくない……。相手が桜小路さんだし」



恭哉はなんて言うのかな?


『撮影期間はどのくらい?』

「長いと思う。半年は余裕でかかりそう……」


まして、今度のロケ地は東北の僻地。恭哉に逢えないのも辛い……。



『……やってみろよ。自分が納得するまで』



えぇっ !? 止めると思ったのに、まさかの激励 !?


これは想定外だったなぁ……。




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