桜色ノ恋謌
「……明日からは桜小路公佳が一緒に入るんだから、あなたはその事を考えてね」


そう言われればぐうの音も出ず、ただ「……はーい」というより他にない。



なんだ、せっかく高橋さんの鉄仮面が崩れるところが見れるかと思ったのに。







ホテルの部屋に戻ると荷物を投げ捨て、ベッドにどさっと倒れこんだ。



明日は桜小路さんがロケ地に入るって言ってたし、明日以降のことを考えるとすごく憂鬱。



今日も疲れた。お風呂入んないでこのまま寝たいよ。




でもメイクは落とさなきゃ、と疲れた体を引きずってユニットバスに向かった。


このホテルには大浴場があるらしいんだけど、まだ利用してない。




温泉には去年の家族旅行以来入ってないなぁ。


あの時は「1年に1回は旅行に行こうよ」ってお母さんに言ったのに、この調子じゃ行けそうにないし。


恭哉とも一緒に行きたいのにな。




せめてこの仕事が終わったら、今度は恭哉と旅行に行きたいと思った。


多分、精神的にも肉体的にも疲労がピークだからだろう。




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