桜色ノ恋謌
「まだ取れないの !?」


翌朝私が撮影所に入ると、衣装さん達が私の衣装の前でなぜかバタバタしている。


どうしたんだろう?



「すみません如月さん、《和宮》の十二単にガムがくっつけられていて……。今急いで取ってお直ししてますから、もう少しお時間を下さい」


「悪質ね。嫌がらせかしら?」

高橋さんはそう言ったけど……。


もしかして、と思った私は高橋さんに聞いてみた。


「もしかして、《天璋院》のお付きの女の人達の役は、みんな桜小路さんのお気に入り…じゃないですか?」



まさかとは思うけど、桜小路さんの取り巻きの連中もこの現場に入ってる?



「まあ……彼女の息がかかった人達だとは思うけど……。まさか咲絢、桜小路公佳がこれをやらせたとでも?」


これ以上高橋さんに話したら、学校でのイジメの事も話さなきゃいけなくなる。


それは避けたかったから、私は言葉を曖昧に濁した。



ここでも桜小路信者がいるのか。


………ウザっ。




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