桜色ノ恋謌
「公佳ちゃんは、お母さんに言われたぐらいで好きな気持ちを諦めきれるの?それで……辛くないの?」

「だって!私が好きなのは……」



言い淀んだ公佳ちゃんに話してくれるように、私は目で先を促した。


「大地…さん、なんだよね。あの人達がデビューした時からずっと気になってたの……」


……あの二人はあんまりオススメしませんが、ええ!


「大地くん…の、どこが好き……なんですか?」


どうせ大地くんも月島くんと一緒で女の子は選り取りみどりなんでしょうに。




騙されてるよ、公佳ちゃん!



「笑った顔とか、あと……。昔、お昼の番組で一緒に仕事をした時に、わざわざ私にだけ差し入れしてくれて……」


……それは公佳ちゃんが大先輩だからじゃないでしょうか……?


なんて事は言えない。


だって、大地くんを思い出してか、公佳ちゃんの顔が真っ赤になってたから。



「……でね。実は今日咲絢と話したかったのは、それ…なの」

「それ、って何?」


俯いて小声で話す公佳ちゃんは、あの女王然とした態度じゃなくなっている。


自信無さげに揺れる普通の女の子、だ。



「咲絢は、月島さんと仲がいいのよね?もし、みんなのスケジュールが合えば、でいいんだけど……」



激しく嫌な予感しかしない。



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