桜色ノ恋謌
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■離れた影
その2日後。
機材の調整中にトラブルが起きて、最後の撮影を1日伸ばされた私だったけど、ようやくクランクアップを迎える事ができた。
「はい和宮、クランクアップですお疲れ様でしたぁーっ!!」というスタッフの掛け声と共に、現場の中は拍手に包まれていく。
拍手が鳴り響く中、特大の花束を公佳ちゃんが持ってきて私に渡してくれた。
「おめでとう。お疲れ様」
それはたった一言なのに、とても嬉しくて。
いろんなことを学べたこの現場とはお別れなんだ…と思うと、卒業式の時みたいな寂しさがどっと押し寄せてきた。
公佳ちゃんも、上手くいけば明日でアップのはず。
できれば同じ日にアップしたかったな。
「咲絢、先に学校に行ってて。今度は学校で一緒にご飯食べよう?」
「うん、待ってる。公佳ちゃんも残りの撮影、頑張ってね」
私と公佳ちゃんは、抱き合ってぐずぐずと泣いて別れを惜しんだ。