桜色ノ恋謌
マンションの外に出ると、柔らかな朝の陽射しが降り注いできた。


咲き始めた花々からはいい香りが漂ってくる。


まるで『今日も1日頑張れ』って言ってくれてるみたい。


私の仕事は女優だもん。はしくれだけど。


憂鬱な顔なんてしてられない。


恭哉のことで、落ち込む感情は抑えきれないぐらいだけど、気持ちは切り換えていかないと。



ようやく元気を取り戻し、私は高橋さんが運転する車に乗り込んだ。

今日は半年ぶりの学校だ。


公佳ちゃんとの約束もあるし、マジメに学校に行ってそれなりにサボろう。



学校に着いて教室に入ると、誰とも名前も知らないクラスメイトの女子に「おはよう」とか挨拶されたから驚いた。


私も「おはよう」とは返しはしたけど。


だって去年はクラスの皆で私をイジメ抜いてくれてたじゃない。よくフツーに挨拶しようとかできるよね。


公佳ちゃんに言われたからなんだろうけど。


うん、これはこれでやっぱり気持ち悪い。

出欠取ったらおサボり決定だね。


月島くんも、今日はまだ来てないし。




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