桜色ノ恋謌
まずい、先生に見つかった?


……ではなく、ドアを開けたのは月島くんだった。


「よー久しぶり。どうだったよ、時代劇は?」

「……衣装が鬼のように重かった。月島くんは新しい仕事、入った?」


月島くんと話すのも久しぶりだからなのか、なんだか新鮮だ。


「んー。レギュラーのバラエティがもう一本入りそうだわ。昼時間帯だけど収録らしいし」

「へぇ。今度は主婦層のファンを狙うんだ?」


それには答えず、肩を竦めて月島くんは私の横の窓に腰掛けた。




……どうしよ。

公佳ちゃんの『お願い』、言ってみようかな?



「……月島くんと大地くん、次のオフ…ってか、夕方か夜でもいいけど、空いてる日って、ある?」


公佳ちゃんの仕事のスケジュールは昨日メールで教えてもらってたから、あとは私や月島くん達の予定が合えばいいんだけど……。


「何企んでんのお前?」


うーわー、思いっきり白い目で月島くをに見られちゃったよ。

けど後には退けないし。


「……高校に入ってからカラオケとか行ってないんだよね。だからさ、行きたいなーってさ。それに、気晴らししたい気分だし」

「ああ、お前の今までの現場、東北の僻地だったっけ?そりゃつまんねぇよな」


まあ、それもあるけど。


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