桜色ノ恋謌
たった半年逢えない間に激変したお互いの環境を、恭哉と夜通し話し合った。


【孤城落日】の撮影が無事終了して公佳ちゃんとは仲良くなれたこと、月島くんや大地くんともいい友人関係を築けていること……。


恭哉も学業と社長業の板挟みで息つく暇もないぐらいにいそがしいこと、それからシェア拡大の為に度々海外に出張に行ったりもしていたとも話してくれた。


そして、うちの事務所の社長は、私達の交際には大賛成しているとも恭哉は言う。


恭哉の仕事の事を知るまでは、交際が反対されるんじゃないかと怯えてもいたけど、もうそんな心配はしなくていいって……。




わだかまりは消えて、心の中には晴れ間が覗いてきたようだ。



まだ二人とも裸のまま体を寄せあい、キスで心の裡を確かめる。





唇を離すと、恭哉が私の肩にバスローブをかけてくれた。


「シャワー浴びる?一緒に」

「……えっ…。やだ……」



恥ずかしくて顔が真っ赤になった私は慌てて胸元をバスローブで隠して、恭哉から逃げた。




だけど恭哉はそれを許してくれなくて、私の体を軽々と持ち上げてシャワールームに連れて来られてしまい。



うあ、超ピンチじゃん!


「体を洗ってやるから」




妖艶に笑う、恭哉のこんな表情は今までに見たことなんかない。



今の恭哉からは自信と色気が溢れていて、顔を見るのもドキドキする。


恭哉ってこんなに俺様だったっけ?



まともに目すら、合わせられないよ。


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