桜色ノ恋謌
メールを送信し終えてリビングに戻ったら、恭哉がノートパソコンを閉じていた。


携帯での話も終わったみたいだし、仕事はもう済んだのかな?



ソファに座る恭哉の後ろから、ぎゅーっとその背中に抱きついた。


恭哉、いい匂いがする。



「馬鹿止めろ。くすぐったい」

「やだ。さっきのお返し」


くすくす笑って、首筋にちう、と吸い付いた。あ。キスマーク付けちゃった。



たまにはいいでしょ?



恭哉は私のだって印をつけても。



「咲絢、横に来いよ」




改まって私を呼ぶ恭哉の声は、いつになく甘い。


導かれるがまま、恭哉の隣にちょこんと腰かけた。



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