桜色ノ恋謌
しばらく考えた恭哉は、諦めたような顔をした。


「……しばらく暇がないな。だけど、スケジュールを調整させるか……」

「そんなのできるの?」

「やれないこともない。ただ、お前の予定もみっちり入ってるみたいだったけど。まずはうちのCMは、演てもらわなきゃならないし」


あう。そんなに仕事が詰まってるなんて、私は聞いてないのにー。


「……いつか連れてくから、そんなに悄気るなって」



ぽんぽんと頭を軽く叩かれて、むう、と頬を膨らませた。



再びベッドに連れていかれて二人でそこに横たわる。


恭哉はきついぐらいにしっかりと私を抱きしめた。それは、絶対に私を離したくないという、恭哉の意思表示にも思える。


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