桜色ノ恋謌
■波に浚われた恋心
さくらんぼのような夕陽が沈みながら、見るもの全てをピンク色に染めていく。
色を反射して輝く海とは反対の方から静かに夜の闇が忍び寄る。
眩い光と夜の闇に挟まれる天頂は肩身が狭いかのように蒼く色づき、澄んだその蒼の中に、一番星を見つけた。
「……花火持ってきた」
「はぁ!? 花火!?」
高そうなスーツ姿の恭哉が右手に持っているのは打ち上げ花火のファミリーセット。
ちょっ、これどうやって買ってきたの!?
「……まさか、恭哉が自分で買ってきた…訳ないよね?」
そうだよ、有名な会社の社長さんの恭哉が、スーパーなんかに行ってこんなの買う訳……。
「いや?俺が行ってフツーに買ってきたけど。家の近所のヤマナカで」
「ヤッ…ヤマナカ!?」
ヤマナカさんは、うちの近所にある昔ながらのスーパーの名前だ。
……恭哉って庶民的過ぎない?
色を反射して輝く海とは反対の方から静かに夜の闇が忍び寄る。
眩い光と夜の闇に挟まれる天頂は肩身が狭いかのように蒼く色づき、澄んだその蒼の中に、一番星を見つけた。
「……花火持ってきた」
「はぁ!? 花火!?」
高そうなスーツ姿の恭哉が右手に持っているのは打ち上げ花火のファミリーセット。
ちょっ、これどうやって買ってきたの!?
「……まさか、恭哉が自分で買ってきた…訳ないよね?」
そうだよ、有名な会社の社長さんの恭哉が、スーパーなんかに行ってこんなの買う訳……。
「いや?俺が行ってフツーに買ってきたけど。家の近所のヤマナカで」
「ヤッ…ヤマナカ!?」
ヤマナカさんは、うちの近所にある昔ながらのスーパーの名前だ。
……恭哉って庶民的過ぎない?