桜色ノ恋謌
やることがとても大企業の社長さんのすることじゃないような気がする。
「へび玉やろーぜ」
「ああ!昔、よくやったよね」
私達が小学生の頃の夏休みに二人で花火をやっていたら、この花火を恭哉が道路の真ん中に仕掛けてて。
幸い車は通らなかったけど、大人達に見つかって怒られた事もあったよね。
火をつけたら黒い玉からにゅるにゅると、マグマみたいなやつが這い出て来るのがなんだか面白い。
他には、バニラの香りがするとか言う花火とか、人魂みたいなゆらゆら火が揺れる花火とか。
今日の花火はバラエティ豊かで楽しいや。
競って次々に火をつけていくと、最後に残ったのは、やっぱり線香花火。
今度はお互い無言で火をつけ、どっちが長く火が持つかを競争している。
3本目の線香花火に火をつけた時、恭哉が静かに口を開いた。
「……咲絢が、まだアイツに気があるのは分かってる。だから焦ってプロポーズしたんだが……」
「え…っ」
……恭哉が、分かってる?
「だけど最後には、俺を選んで欲しい。咲絢がアイツに気持ちを残さないよう、俺も頑張るから」
「頑張るって、恭哉はこれ以上頑張ることないよ。弱いのは私…なんだから」
だって恭哉は、私のためにここまで来てくれた。
それよりもっと頑張るなんて、そんな事しないでよ。プレッシャーになっちゃうよ。
「へび玉やろーぜ」
「ああ!昔、よくやったよね」
私達が小学生の頃の夏休みに二人で花火をやっていたら、この花火を恭哉が道路の真ん中に仕掛けてて。
幸い車は通らなかったけど、大人達に見つかって怒られた事もあったよね。
火をつけたら黒い玉からにゅるにゅると、マグマみたいなやつが這い出て来るのがなんだか面白い。
他には、バニラの香りがするとか言う花火とか、人魂みたいなゆらゆら火が揺れる花火とか。
今日の花火はバラエティ豊かで楽しいや。
競って次々に火をつけていくと、最後に残ったのは、やっぱり線香花火。
今度はお互い無言で火をつけ、どっちが長く火が持つかを競争している。
3本目の線香花火に火をつけた時、恭哉が静かに口を開いた。
「……咲絢が、まだアイツに気があるのは分かってる。だから焦ってプロポーズしたんだが……」
「え…っ」
……恭哉が、分かってる?
「だけど最後には、俺を選んで欲しい。咲絢がアイツに気持ちを残さないよう、俺も頑張るから」
「頑張るって、恭哉はこれ以上頑張ることないよ。弱いのは私…なんだから」
だって恭哉は、私のためにここまで来てくれた。
それよりもっと頑張るなんて、そんな事しないでよ。プレッシャーになっちゃうよ。