桜色ノ恋謌
私が恭哉に望むのは、変わらない二人の関係でいること、なのにな。




「……だけど、不安なんだよ。特にこれからは咲絢のマネージメントはアイツに任されるだろうから、一緒にいる時間も増えるだろうし。だから咲絢の気持ちがアイツに移るんじゃないかと……」

「……恭哉、不安にさせてゴメンね。だけど、私、そんなに器用じゃないよ。恭哉に気持ちがあるのに、たか…鳥羽さんとどうこうする仲には……なれないよ」



足下の砂浜をみつめて、小さな声で呟いた。


私が宙ぶらりんなのは、選択肢があるからなんじゃないの?


辛い時だけは恭哉に甘えて頼って。そんな私のために、恭哉はこんな所まで登って来てくれた。


でも、鳥羽さん…は、私が辛い時にも側にはいてくれなかったし、陽菜乃ちゃんとの事だってどうなってるのかが分からない。



大体、うちの社長だって、私と恭哉が付き合うのも結婚するのも賛成してる。


何より。


仕事の事を考えたら、恭哉と結ばれた方が女優としてもいいに決まってる。



恭哉と鳥羽さん。



確かに私は同じぐらいにどっちの事も《好き》なんだ。



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