桜色ノ恋謌
さっきの事から思わず身構えて後ろを向くと、苦笑いした高橋さんが立っている。


「高橋さん…ごめんなさい。せっかくのお祝いのパーティなのに……」


高橋さんはまだ苦笑して首を振った。


「いいのよ。でもまさか陽菜乃があんなに思い詰めてたなんてね。咲絢は気にしないで。あの子のはただの我が儘なんだから」

「……我が儘…ですか…」

「そうよ。大体陽菜乃は気に入らない仕事は全部蹴っていたもの。そんな問題行動を起こして仕事量を減らしたのは陽菜乃自身。咲絢に文句を言うのはお門違いよ」

「……陽菜乃ちゃん、私が代わりを務めたCM以外にも蹴ってたんですか?」


……じゃあ、高橋さんが言う通り、完全に逆恨みじゃん。私関係なくない?



「陽菜乃は鳥羽君の事も恋愛対象としてるみたいだけど、それも絡んでの逆恨みかしらね」

「……いい迷惑です。私には恭哉がいるし」



だって恭哉からのプロポーズ、受けたばかりだもん。めんどうな事からはもう逃げたいのが本音だし。



……たとえ淡い好意を持ってたとしても、だよ。




それなのに仕事どころか鳥羽さんまで盗られたって……。



私には私の事情だってあるし、嫌な思いもたくさんしてきた。


なのに、なんであんな言い方されなきゃいけないわけ!?




ホント、意味分かんない。


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