桜色ノ恋謌
それからも高橋さんや倉木さんとは色々と話をしていたんだけど、二人の元に次々に祝辞を述べるお客さん達が集まりだしたから、私はその場をそっと辞した。



空腹に気づいてテーブルに置かれた料理をプレートに盛っていると、プレートが誰かにひょいと取り上げられている。


「……せっかくのドレスが汚れるだろ?」


鳥羽さんはそう言って、左手のトングも取り上げた。



……なんかもう食欲失くしたし。


「咲絢、ちょっといいか?あっちで仕事の話をしたいんだけど」



何よ今更。


「ちゃんと私のマネージメントができる人に、マネージャーさんを換えてくれるっていう話なら聞きますけど?」



私の口から出てきたのは、そんな可愛げの欠片もない言葉で。



鳥羽さんが傷付くなんて、考えもしない自分にも嫌気がさす。



さっきの陽菜乃ちゃんと鳥羽さんを見て、こんな気持ちになるくらいなら最初から私のマネージャーになんてなってほしくなかったよ。



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