桜色ノ恋謌
「……地方じゃないよ。ナビするのは、あのテーマパーク。咲絢がデビューした頃撮影した、あのパークだよ」
あのテーマパーク……?
記憶の中に、あの時の思いまでが甦る。
なんで。
なんで、そんな仕事……。
「毎週日曜の8時枠で、30分番組だ。咲絢はパークの中でも一般人があまり知らない裏側や、見所をゲストと一緒にナビゲートする役割。撮影は来週からになるけど、大丈夫か?」
「……大丈夫です」
大丈夫。
私には恭哉がいるんだから、今更そんな場所に行っても気持ちが揺れたりはしないから。
だから、だからきっと、……大丈夫。
知らず知らずの内に私が左手のリングを握り締めていたのを、鳥羽さんは何も言わずに、ただ悲しそうな瞳で見つめている。
もう言葉が交わる事はなかった。
言葉を交わしてしまえば、進路も退路も断たれる事が明白だからだ。
あのテーマパーク……?
記憶の中に、あの時の思いまでが甦る。
なんで。
なんで、そんな仕事……。
「毎週日曜の8時枠で、30分番組だ。咲絢はパークの中でも一般人があまり知らない裏側や、見所をゲストと一緒にナビゲートする役割。撮影は来週からになるけど、大丈夫か?」
「……大丈夫です」
大丈夫。
私には恭哉がいるんだから、今更そんな場所に行っても気持ちが揺れたりはしないから。
だから、だからきっと、……大丈夫。
知らず知らずの内に私が左手のリングを握り締めていたのを、鳥羽さんは何も言わずに、ただ悲しそうな瞳で見つめている。
もう言葉が交わる事はなかった。
言葉を交わしてしまえば、進路も退路も断たれる事が明白だからだ。