桜色ノ恋謌
「社長の話を聞けば分かるよ」

「じゃ、良い話か悪い話かだけでも教えてよ?」


ルームミラー越しにあたしをちらりと見た昂くんは、ニッと笑った。


そしてたっぷり2分ぐらい経ってから返事を返したし。

「…………良い話」


なんでそんなに勿体つけてるのー !?



て言うか、社長の話って何なのよ、とモヤモヤ気分を抱えたまま、あたしは社長室のドアをノックした。






「……オーディション?あたしが?なんの?」


気になる社長の話とは、とあるオーディションを受けてほしいというものだった。


なんで今更オーディション?


「来年の4月に、土曜日の朝7時枠で少女向けの特撮ドラマがスタートする。漫画が原作の魔法少女モノだ。咲絢には、このドラマの主人公役のオーディションを受けてもらいたい」

「……ドラマのオーディションはいいけど…。でも、しばらくの間はShelly の専属モデルが原則じゃないんですか?」


専属モデルがドラマにも出るなんてあり?しかもあたし、まだペーペーの新人なのに。



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