桜色ノ恋謌
「そのオーディションを受けるのはティーンズ誌のモデルばっかりなんだ。女優は使わない。というのも、少女漫画の編集部とティーンズ誌が数社、それに服飾ブランドがコラボしたドラマだからな。番組としてはストーリーより、レギュラーの子達が着るブランドの新作の洋服に重点を置きたいと考えている」


「服を際立たせるには女優を使うより、現役のモデルを使う方がいい。モデルだったら着る服の活かし方を知ってるから。だから、ターゲットは低年齢の女の子から中高生まで、幅広くなるはずなんだよ」


昂くんが社長の言葉を補った。


「なんて言う漫画ですか?」

「『ぷれしゃすっ!』だったか?」


昂くんに聞くところを見ると、社長もその漫画のことはよく知らないんだと判断できる。


「タイトルは『ぷれしゃすっ!』で合ってます。出版社は忠孝社、コミックスは20巻で完結済みだよ」


《ぷれしゃすっ!》は、あたしはタイトルだけしか知らないし読んだこともない。

大体、読者層の年齢が低すぎるんだよね。その漫画が載ってる雑誌を読むのは小学生の低学年ぐらいだろうし。


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