桜色ノ恋謌
「…めんどくさ。鳥羽さん、そこら辺にいますよね?ロケの邪魔になるんで、陽菜乃ちゃんをどうにかしてもらえますか?彼女、鳥羽さんじゃないとダメみたいだし」

公佳ちゃんや月島くんたちに、こんなところ見せて、恥ずかしいったらありゃしない。

自分本位のスキャンダルなら他人を巻き込まないでほしいって、常々思っているんですけどね。

呆れた私の顔を見てか、スタッフさん達が慌てて鳥羽さんを捜しに行く。

落ち目とはいえ、陽菜乃ちゃんだって芸能界ではそこそこ有名な部類に入る。最近はお騒がせ女優として、専らスキャンダル誌を騒がせる方が多いのだけれど。



スタッフさんに案内されて、鳥羽さんがやってきた。

今なおぎゃぁぎゃぁ喚く陽菜乃ちゃんの傍らに近付き、ごく至近距離で何やら囁く。陽菜乃ちゃんの耳元に顔を近づける。




何でだろうね。



そんな二人の様子を見ても、私は何にも心動かないんだ。


『ああ、もう、どうぞご勝手に』


そんな無関心。

つまり、あの二人が今後寄り添おうが何しようが、私には関係ないんじゃない?



そう、あの二人が付き合おうが何しようが、私には関係ない。





< 382 / 394 >

この作品をシェア

pagetop