桜色ノ恋謌
今日も撮影は日をまたいで深夜まで行われた。

だけど、仕事がよほど押してない限りは、必ず恭哉が迎えに来てくれる。

恭哉の高級車の助手席に乗り込むと、まず一番に優しく頭を撫でられた。

今、一番のご褒美は、恭哉からのねぎらいの言葉だったり、こういうスキンシップだったりする。


私が女優として、嫌なことにも負けず今の地位を築けたのは、恭哉からの精神的、それに現実的なバックアップがあったからこそなんだから、嬉しくないわけがない。むしろ嬉しい。


「今日は、何か変わったことはなかったか?」

そして、いつもの質問。

恭哉は、時とすれば過保護にしか見えないほど、私の仕事の内容を把握したがってるかも。

恭哉の会社と私は提携しているんだから、私のスケジュールなんか全部…むしろ私より詳しく把握しているはずなのに、恭哉はさらに私の仕事の内容の詳細を知りたがる。

そりゃ確かに、一年の時には公佳ちゃんの取り巻きに嫌がらせされたり月島くんたちのファンに中傷されたりしたけど、今はもういい思い出だし、みんな仲良くできてるんだよって言っても、恭哉は結構用心深く身辺調査なんかしたりしてるみたいだ。

もちろん、みんな知ってる以上の情報は出てこないけどね。




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