桜色ノ恋謌


撮影も順調に進み、主役の大庭さんとも現場では、公私ともにかなり打ち解けてきた。

公私ともに、というのは、役柄の上でも、という意味も含まれている。


赴任当時は反発ばかりしていた私たち生徒も、主役の熱血先生にいつしか心を開きつつある…。そんな中で起こった、私が演じる女子生徒と、大地くんが演じる男子生徒の告白劇。


それが、今日の撮影の山場だ。


今日現地入りしているのは、私と大地くんだけ。


公佳ちゃんと月島くんは、それぞれ別の仕事が入っているから今日は来ない。



何回かのリハを経て、いざ本番。



舞台は学校の裏山。

後ろには、鬱蒼と茂った陰気な林。


…よくこんな暗い所で告白なんかしようと思ったな、ってのが私の役に対しての感想。


そう、この告白は、私の方から大地くんに向けてしなきゃいけない告白らしい。


ダメじゃん、告白の相手が大地くんだなんて、笑えてきてNG連発しかねない。


せめて、恭哉がいれば真実味を帯びた演技もできようもんなんだろうけど。



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