桜色ノ恋謌
■優しいてのひら
気がついたら、あたしは自分の部屋のベッドの上に眠っていた。
重たい頭を動かして横を見ると、恭哉くんがあたしの通学用バッグを開けて……。
「見ちゃ駄目 !!」
慌てて恭哉くんの手からボロボロの教科書やノートを取り返した。
だけど見られたのは間違いない。
………こんなの……。
「……咲絢、最近ちゃんと寝てんのか?」
「………」
顔を上げることができない。
恭哉くんに知られた恥ずかしさと悔しさ。
「仕度して。出かけるから」
「えっ……。どこ、に?」
「病院。『如月咲絢』って分かんないような格好しろよ」
恭哉くんはあたしの頭をぽんぽんと叩いて部屋を出た。
上手く働かない体をようやく動かして、あたしは地味な服装に着替えた。
恭哉くんはアレを見て、どう思ったんだろう?
こんなあたしを見て、汚いとか思ったのかな…?
時計を見ると、まだお昼前。
お母さんは童話雑誌の担当さんと打ち合わせだって言ってたから、多分夕方ぐらいじゃないと帰って来ないんだろう。
重たい頭を動かして横を見ると、恭哉くんがあたしの通学用バッグを開けて……。
「見ちゃ駄目 !!」
慌てて恭哉くんの手からボロボロの教科書やノートを取り返した。
だけど見られたのは間違いない。
………こんなの……。
「……咲絢、最近ちゃんと寝てんのか?」
「………」
顔を上げることができない。
恭哉くんに知られた恥ずかしさと悔しさ。
「仕度して。出かけるから」
「えっ……。どこ、に?」
「病院。『如月咲絢』って分かんないような格好しろよ」
恭哉くんはあたしの頭をぽんぽんと叩いて部屋を出た。
上手く働かない体をようやく動かして、あたしは地味な服装に着替えた。
恭哉くんはアレを見て、どう思ったんだろう?
こんなあたしを見て、汚いとか思ったのかな…?
時計を見ると、まだお昼前。
お母さんは童話雑誌の担当さんと打ち合わせだって言ってたから、多分夕方ぐらいじゃないと帰って来ないんだろう。