桜色ノ恋謌
教室に入ると机と椅子がない。

………だから、何?




空き教室へ行って授業が始まる前に机と椅子を準備した。




「……マジあの女、しぶとくない?」

「図太くね?」



黒板の前に座ってた男子と女子2人があたしに聞こえるように悪口を言っている。……あたしの方を見ながら。



男子の方は男性誌のモデルをやってる人だっけ?

女子2人はたしか、どこかの劇団に所属している人達だったはず。




もういいや。




クラスのみんながあたしと仲良くしたくないなら、無理に仲良くも我慢もしないって決めたんだ。



「今度はバッグかぁ……」


通学用のバッグも鍵つきにして、教科書やノートは授業が終わる度にイタズラされないようにしまっていた。



そしたら今日は、そのバッグをどこかに隠されたみたい。



早く探さないと。



校舎のあちこちを探したけど、なかなかみつからない。


まさかここには無いだろう、とは思ったけど、屋上に行ってみた。



……あった。



バッグは貯水タンクの上に放り投げられている。






< 99 / 394 >

この作品をシェア

pagetop