ゆるキャラ
「ゆる、キャラ?」
「うん、ゆるキャラ」
「え?ゆるキャラ?」
「ゆ・る・キャ・ラ‼」
ひ・み・ちゅ☆のニュアンスで、石田先生が叫ぶと、戦場には静寂が広がった。
「さ、さすが市長‼」
「ゆるキャラで、住民の心も和み、わが町の認知度も上がるというもの‼」
さっきまでの殺意は一転、拍手喝采の中、議会は終わったのだけれど…。
私は、メモを見る。
ゆるキャラはいいけど、みんな、これを見ていないし…。
てかこれ、なんなのかしら?
「サッちゃん、早速、制作に取りかかってよ」
「はい。ですが、これは…」
「まさか、なにか分からないとかぁ~?」
先生がほくそ笑む。
こ、これはきっと私を試してるんだわ‼
よ、よし‼
ここは見事な答えで、先生の期待に応えなくちゃ‼
ええーっと、パッと見、納豆?いや、でも、うちは納豆の名産でもないし。こんな、茶色い、ささくれ立ったものって一体…。
「あと5秒」
「ま、待って下さい‼」
「3」
「あ、あっ…」
「2」
「あ、分かった‼」
「1」
「藁人形‼」