My hart
「今日からアレじゃん?どうせ今年もウチに来るんだろ」
稚早と一緒に帰るのなんて、何年振りだろう。
帰り道、稚早と並んで帰路に着きながら思った。
稚早の言う『アレ』とは、毎年6月になると、私の両親と稚早の両親が合同で行く、結婚記念旅行の事だ。
そして毎年、放置された私と稚早は、稚早の家に泊まるのが定番になっていた。
「ねぇ、私今年は自分の家にしとく。」
突然切り出した私に、驚いた様に稚早が振り返った。
「何、急に?」
「いや別に・・・」
口ごもる私に、稚早が立ち止まった。
「彼氏でも出来たわけ?」
「ち、違うけど」
「なら、別に良いじゃん。他に理由あんの?」
私は何も言えずに固まってしまった。
言える訳がない。
稚早の傍に居たくない
なんて。