(仮)双子の闇


「あれ? あそこで寝てる二人って門の人たちじゃない?」


「本当ですね。 どうしますか?」


「屋上」


「分かりました」


睡眠を邪魔されて少し、不機嫌なあたしを他所に何かを言ってる奴ら。


あたし、眠いから静かにしてほしいんだけど…


「ねぇねぇ、キミたち。 僕らと屋上行こ?」


そう言い、誰かがあたしの肩をポンポンとたたいた。


ノッソリ


そんな言葉が似合うくらい、ゆっくり起き上がったあたしの目に映ったのは、


「「……誰?」」


あ、蓮も起こされてたんだ。


でも、そんなことより。


女の子より可愛い顔した男の子があたし達の前に立っていた。


あたし達の知り合いにこんな可愛い男の子はいない。


だから、口をポカンと開けてるこの男の子の心境が知りたい。


「…キミ、誰?」


あたしはもう一度、声をかける。


そうすると、男の子はハッとしたように、


「僕は水沢 楓ーミズサワ カエデーっていうの! キミ達の名前は?」


「桜木 千夜」
「桜木 蓮」


「千夜くんに蓮くんか~。 僕、キミ達とお喋りしたいの!! だから一緒に屋上にきてほしいの!」


上目遣いしてきた…


かわいいな…でも、


「イヤだよ、面倒くさい」


「え? ダメ…なの?」


うわ~、涙目。 破壊力ありすぎだろ…。


「……分かった。 分かったからその目、止めろ」


「は~い♪ じゃあ早く行こ~!!」


水沢はあたしと蓮の手を引っ張って屋上に向かうため、歩き出した。


面倒だな…。




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