(仮)双子の闇
Ⅰ
「……。 …よ、ちよ、千夜」
……、
誰か呼んでる?
「千夜、起きて」
あ、蓮ーレンーだ。
「…おはよ、蓮。 どーしたの?」
「母さんが呼んでる」
母さん?珍しいな…。
あたしを起こしに来たのは弟の蓮。
たまに甘えてくるので、とても可愛い。
「分かった、行こう」
コクン…。
蓮は首を縦に動かした。
あたしの服の裾をギュッと握りしめながら。
こういう何気ない仕草は、あたしにしかしてこない。
しかも二人きり限定だ。
蓮の甘えたな仕草は親でさえ知らない。
見せないのではない。
見せたらダメだと思っているからだ。
あいつらのせいで……。