恋愛部☆番長組



 くっ...。


 微笑む天野君には何も言えなくなる。

 ご機嫌に運転している天野君の横顔を

 ただ横から見ていた。



「――ちゃん、千春ちゃん?」


「...あ...」



 あれ、私寝てたっ?!
 嘘っっ!!



「寝てるとこごめんね?海についたよ」


「...海??」



 車の中から見ると、一面、海。
 ざざーんといつまでも鳴り止まない音。


 塩の匂い。

 
 暗闇なのに、星々で照らされている
 海の青い色が益々濃く見える。




「わあっ....」


「綺麗でしょ?」



 
 うん。

 うんすごく...。



「綺麗...」


「ここはデートスポットで有名なところ
 なんだよ。知らなかった?」



 私がそんなの知るわけないじゃんっ!
 ...詳しいって思うのは、私だけなの
 かな。



 
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