恋愛部☆番長組




 ブランコに乗って前へ、後ろへと少し
 ずつ動かしていく。


「...名前、顔も、私全然覚えてない。
 なんで...」



 ふと足を止める。



 少しの間、地面を見つめて
 ため息。

 
 名前くらい、聞いとけばよかった...
 あの人の顔もおぼえられないなんて
 どれだけ私は頭悪いの?


 地面を見つめてると誰かの影が
 私に近づいて顔を上げた。



「...思い出したの?」


 あ、天野君っっ?!何で――...。


「思い出す??」



 一瞬嬉しそうな顔はすぐに怒ったよう
 な、ふてくされてるような顔をする。



「...いや、いいんだ」


「それより天野君、こんな時間から
 ランニングしてるの??」


「ああ、俺走るの日課だからね」


「へぇ~...」


 
 そうなんだ。
 知らなかった。


 けど、今さっきの天野君の言葉、
“思い出した?”ってのは一体
 何なんだろう。



「あ、そうだ!」


 ん??なんだろ。


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