恋愛部☆番長組
「じゃ俺ランニング戻るから」
私に背中を向けると、どうしてか
心臓がドクンドクンと鳴り出す。
この背中。
私、知ってる。
走り出そうとする天野の背中を抱き
しめた。
「...なにしてるの?」
「ごめんなさい。だけど、何か自分でも
わからないっ...ただ、怖くて」
「怖い?」
また、
あの日と同じように
天野君の背中が被って見えて、
震える私の手を優しく天野は握る。
「大丈夫だよ。どうしたの?...何が怖い」
「あ、いや、ごめん!!なんか少しめまいが
しちゃって...」
ごめんね天野君。
今、天野君の背中が昔の知り合いと
重なって見えてたなんて、嫌だよね。
ほんとに、ごめんなさい。
「そう?俺一緒に家まで行こうか?」
「ううん。ほんとに大丈夫!!だから天野
君は早く行ってっ、ねっ!!」
ぽんっと背中を押した。
「わっ、...まあ千春がそういうなら...」
笑って、手を振る。
走っていく天野の背中はやっぱり
どこか似ていて、苦しくなった。