お前のすべてを愛してやる【完】
「…き、くん」



「亜矢乃?今、ちょっと声出なかったか…?」



掠れた声だったが、確かに少しだけ出た。



亜矢乃はコクンと頷いた。



「もう一回。俺の名前、呼んでみろよ」



亜矢乃が頷くと、口を開いた。



「…い、つき…くん」



「亜矢乃っ!!」



衣月は、ギュッと亜矢乃を抱きしめた。



「衣月くん、苦しい…」



「あ、悪ぃ」



衣月が力を緩めると、ゆっくりと体を離し見つめた。
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