お前のすべてを愛してやる【完】
「お、笑顔ってことは戻ったのかー?」



達哉が珈琲を飲みながら言った。



「うん、達兄!!」



「あ、やのっ。お前っ!!」



亜矢乃が笑顔で頷くと、達哉は持っていた珈琲を落としそうになった。



「声、出たの!お母さん、真琴、藤澤くん!!」



「亜矢乃っ!!」



美和が亜矢乃に抱き付き、真琴は信に抱き付き、信は衣月を見て笑った。



「良かった、本当に良かったわ!ありがとう、大倉くん。あなたのおかげね」



美和は、亜矢乃から離れると衣月の手を握りブンブンと振った。



「いや、俺は何も…」



「いいえ、あなたのおかげよ。何か欲しいものはない?」



「ちょっと、お母さんっ」



美和の言葉に、亜矢乃は間に入り止めた。
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