お前のすべてを愛してやる【完】
「亜矢乃。だって大倉くんは、声を出させてくれたのよ!」



「え…」



何か、衣月くん神様みたいな扱いになってる…。



亜矢乃が苦笑しながら、衣月を見た。



「あー、じゃぁ。一つだけ、欲しいもの…」



え、あるの!?



「えぇ、何でも言ってちょうだい」



「亜矢乃さんを、ください」



―ガシャン…!!―



「え」



声を出したのは、美和ではなく亜矢乃。



そして珈琲カップを割ったのは、もちろん達哉だ。



「あ、もちろん今じゃなくて将来的に、です」



亜矢乃も真琴も信も、開いた口がしばらく塞がらなかった。
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