お前のすべてを愛してやる【完】
「え、衣月くん。大丈夫?頭痛い?頭痛薬飲む?」



「いや、いらねぇ。で、弟いくつだよ」



動こうとした亜矢乃の腕を掴んだ。



「え?秀也は10歳だよ。もう最近、嫌がるんだよねー」



「10歳…。そりゃ、嫌がるだろうよ…」



「あ、亜矢乃!!わたしと入ろう?亜矢乃と入ってみたいなー、お風呂!」



真琴がドンヨリとした空気を変えた。



「うん!真琴と入る!達兄、ごめんね。また今度でもいい?」



「あぁ、俺はいつでもいいぞー。じゃ、おばさん風呂入ってくる」



「はいはい。あ、亜矢乃。タオルとか用意してあげてー」



「うん」



亜矢乃は頷くと、達哉の後を付いて消えていった。



「衣月、大丈夫かー?」



信が衣月の顔を覗いた。



「いや…。真琴、サンキュ」



「わたしも断られたらどうしようかと思ったよ」



衣月の言葉に真琴は苦笑した。
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