呪島~ノロイジマ~
「ねぇヒトミン」


それを察した美絵が声をかける。


「輝之さんが遅いから、今のうちに私たちで出来ることしようよ」


「うん……でも……」



「このベタ凪じゃあ事故なんか起こらないと思うよ」


不安げな表情の瞳に向かって、敦也も優しく語りかける。



「だとは思うんだけど……」


「って言うか、電話してみればいいじゃん」


美絵が気がついて言った。



「してるけど出ないの」


「え?」


「電波が届かないか電源が入ってない……って」


瞳は泣きそうな顔になった。

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