呪島~ノロイジマ~
そう言って女は土砂の上の方を指差す。



泣きながら由梨はその方向を見た。



土砂の一番上から突き出した、木の棒が見える。




「私から」



女がそう言うと斜面から覗いている木の枝を掴んで引っ張った。



『ズゴゴォ』



引き抜く音と共に、一気にそこより上の土砂が、仰向けに寝転んだ由梨の上に崩れ落ちてきた。


『ズザザァアアアアアア』



由梨は言葉を発する間もなく、崩れてきた土砂の中に消えた。


最後に天高く突き上げた右手だけを地上に残して……。

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