呪島~ノロイジマ~
実は誰にも言ってないけれど、美絵は霊感が強い。


ハッキリと幽霊を見たことはないけれど、その存在を感じたことは一度や二度ではないのだ。


その経験が、この建物……というより、島全体からの不気味な違和感を感じさせる。


さっきのは絶対に気のせいではない。

ハッキリと聞き取れたし、第一早紀だって聞こえたと言ったのだから……。



「わぁ~すごいねぇ」

中に入るなり由梨が感嘆の声をあげる。


「でしょう。同時に四世帯が泊まれるように、四人部屋を四部屋用意してるんだよ」


輝之が少し自慢げに言った。


鉄筋コンクリート造りの二階建ての建物には、四つの居室と食堂スペースがあり、大浴場も完備されている。


「まだ建ててから五年ほどだし、結構綺麗でしょ?」


「すごいですよ。こんな所にタダで泊まれるなんて、夢みたいです」


由梨は大袈裟に喜んで見せた。

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