呪島~ノロイジマ~
「どういうこと?」


「じゃけぇな……誰の幽霊ならってことじゃ」



「え?」


「誰かが死んで幽霊になるんじゃろうが」



「ああ、そういうことか」


「この島は村上水軍の頃から、人が住んで生活しとるのに、

幽霊じゃあ言うて騒いで、人が出て行ったんわ、二十何年か前のことじゃろうが」


「ああ、そうじゃ」



「じゃけぇ、その幽霊は誰の幽霊ならぁいうことじゃ」


「そういう意味か」


「オマエ幽霊見たんじゃったら、島の誰の幽霊か分からんのか?」



「いや……誰って言われたら、誰かのぉ……?」


茂行は遠い目をした。

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