呪島~ノロイジマ~
「よっしゃ時間がねぇから急ぐぞ」


「はい」


敦也が返事をしてから美絵を見て、二人はお互いの目を見つめて頷いた。



「私は行かない」


瞳がキレ気味に言った。



「はぁ? アホかオマエは? このまま朝までおったって、誰も助けになんか来てくれんぞ」


「輝之は生きてる」



「オマエなぁ……」


「お願い。さっきの倒木のところからの枝道から、輝之を捜しに行くの手伝って」



「無茶言うな。ほんまにもう日が暮れるで。そうじゃのぉても夜の山は危ねぇのに、幽霊なんかに襲われたら一溜まりもねぇぞ」



大輔は冷たく言い放った。



「じゃあもういいよ。私一人で捜すから」



「はぁ? アホかオマエは。単独行動なんか無茶じゃ。死にに行くようなもんじゃがな」


大輔は無謀な申し出をする瞳を睨んだ。

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